事例紹介

 大分県は近年の訪日外国人の伸び率が全国1位になるなど 各関係事業所や関係機関の多種多様な受け入れの努力がデータに現れています。2019年9月のラグビーワールドカップ開催など、今後もますます伸びが予想されるインバウンドですが、同時に対応について考えるべき事も増えていきます。ここでは関係事業所などのこれまで経験や課題、今後の取り組みなどを紹介し、インバウンドに関わる多くの方々に共有して頂ければと願っています。

事例紹介

宇佐市のインバウンド対策

発表者:高坂 亮佳 氏

宇佐市 Naru Guest House(ナルゲストハウス) 経営

宇佐市 Oneばうんど 運営

-紹介&参考-
海外での企業活動経験(シンガポール3年間)
海外旅行の経験(南米、中東、アフリカなど約50か国).....
宇佐市地域おこし協力隊(2年間)
旅、キャンプ、映画好き

事業所での取り組み

団体『Oneばうんど』-インバウンド事業-

Oneばうんど

翻訳事業

SNSの文章、メールのやり取り、メニュー、DM、パンフレット、POP、看板など

特徴

  • 英語、韓国語、中国語(繁体字、簡体字)
  • 地域を知っている
  • 少量でも可能
  • 直訳だけでなく、提案もできる(現地打ち合わせが可能)
  • プロではないので安価(1文字:15円~20円)

インバウンド対策サポート

マニュアル本+指さしシート 作製

計4回のセミナーを実施(参加者約100名)

内容
参加者と指さしシート内容を考えるワークショップ
APU学生からのアンケート
シュミレーション・ワークショップ

特徴

  • セミナーから成果物まで一貫して携わる
  • 地域オリジナルの指さしシートを作成
地域オリジナルの指さしシート

Naru Guest House(ナルゲストハウス)

ナルゲストハウス

  • 宇佐市四日市
  • 2017年9月オープン
  • 旧旅館
  • 最大18名利用可能
  • 個室+相部屋
  • 食事提供も可能

宿泊者限定特別ガイド

  • 酒蔵ガイドツアー
  • 宇佐神宮ガイドツアー
  • グルメツアー

強み

  • 英語対応可能
  • オーナー夫妻が旅人(世界一周経験者)
  • 丁寧な 一対一 のアットホームな対応
  • 宇佐市内のガイド経験あり(JRななつ星ガイド経験者)


宿泊者(インバウンド)の推移

月別動向

  • 10、11月:外国人利用客 60%
  • 12、1月:外国人利用客 10%
  • 2、3月 :外国人利用客 40%

宿泊理由

  • 価格 (平均客単価3,500円)
  • 観光(宇佐神宮、イチゴ狩り、トレッキング)
    ※認知度は低い

交通手段

  • レンタカー
  • 自転車
  • 公共機関

予約経路

  • 予約サイト:40%
  • 直接予約 :60%


ゲストハウスの課題

◎連泊客が少ない
◎点だけのインバウンド対策ではマンパワーが足りない

・食、観光施設、体験、交通機関全体の連携が必要
・全体でPRすれば効果は数倍!!

インバウンド推進協議会USA(民間主導) が必要

形だけでない、本当に動ける人達

宇佐市の取り組み

※高坂個人の意見

※2018年5月時点

 宇佐市が本格的にインバウンドへの取り組みを開始したのは2016年からです。
具体的な内容としては次のようなものです。

  • 看板等の多言語化
  • パンフレットの多言語化(英語、中国語、韓国語)
  • 台湾プロモーション(商談会、ブロガー招致、雑誌記載)
  • インバウンドマニュアル本
  • QRコード活用(Tagfit)
  • 免税店セミナー(ホームセンターセブン)

宇佐市のインバウンドの傾向/特徴

◎ 団体ツアーが多い
◎ グリーンツーリズム利用者が多い

≫現在の団体ツアーのパターン

  • 宇佐市 :立ち寄り観光
  • 訪問場所:宇佐神宮、安心院葡萄酒工房(ワイナリー)
  • 滞在時間:2~3時間以内
  • 理由  :近隣に有名温泉宿泊地(別府市、由布市)がある

≫現在の団体ツアーでは経済効果が薄い=インバウンド恩恵が薄い

★違うツアーパターンへ切り替え、宿泊や滞在時間を延ばし、旅行者の消費拡大を図る必要がある。

その他の課題

【情報発信】総合的な多言語HPがない

≫ツーリズム大分のHP有効活用

【未来図】5年先のビジョンがない

ターゲットを絞る方が良いのか?
何をPRするのか?
差別化ができているのか?
リーダー(中心人物)がいない?

-これからの方向性-

地域の関係事業者・関係機関との連携した高い意識と良い環境の構築を進め、より効果的な収益の向上につなげる。

最高のおもてなしは安心感

旅館「山城屋」

湯布院町 湯平温泉

-紹介&参考-
お部屋 和室7室 和洋室1室 宴会場あり
収容人員 30名
旅館「山城屋」は湯布院町湯平温泉にある昔ながらの温泉旅館です。

最高のおもてなしは安心感

旅館「山城屋」は、築50年、客室7部屋、従業員数7名(パート含む)という典型的な小規模家族経営の旅館ですが、大分県の湯平温泉という九州の山奥に位置しているにも関わらず、顧客の8割を外国人客が占め、年間を通して客室はほぼ満室状態が続いています。

また、世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」の「日本の旅館部門2017」で満足度全国第3位にランクインしました。

「インバウンド」という言葉がまだ一般的ではなかった10年以上前から顧客市場を世界に求め、さまざま様々な取り組みを行ってきました。

地元の留学生を活用したホームページの多言語化、わかりにくい交通アクセスを現地の写真と4通りのルートで説明した「おもてなしルートマップ」の作成、さら更に列車の乗降方法を説明するため、留学生を観光客のモデルとして動画撮影、多言語化した字幕で見てもらうことにより、ま先ずは「旅マエ」の不安を解消することに努めました。

また、館内では、お客様それぞれのスケジュールに合わせて翌日の列車の時間や食事時間のご案内をしています。更にお客様がお食事中の間、それぞれのスリッパの上にお客様のお名前を書いた「ネームカード」を置いています。これは、お客様へ「旅ナカ」の不安を解消するための一例です。


当館は、最高のおもてなしは「安心感」であると考えます。外国人客が「安心」して過ごすことができ出来たなら、それは次回も訪れてくれる「リピーター」につな繋がります。逆に、不安な体験が多かったならば、次回の選択肢には入らないでしょう。

「最高のおもてなしは安心感」が当館の基本理念です。